2023-12-29

20231103② ゴジラ-1.0

 初代は観ておいて良かった。
 -1.0は衣装がなんかペラい印象を受けた。1954年のほうのヒロイン山根恵美子の佇まいや服の仕立てに品があってとても素敵で、その雰囲気を期待してしまった。彼女はええとこのお嬢さんだから比べても仕方ないんだけど。

 事前の告知の監督どうこうは特に気にしていなかった。観る前は、アルキメデス〜くらい戦艦が出てきたら嬉しいな、ドラクエ(未プレイのため展開が早すぎてついて行けない)やルパン(ヒロインの声と脚本が苦手。最後の「いい女になれよ」がすごく気持ちわるい)のような“ビジネス”な感じだったら頑張って良い所を探そう、ただまあVFXが白組なら元は取れるだろう、ぐらいのささやかな期待感だったと思う。
 むしろシン・ゴジラと白組で被ってるところに、見た目にどうやって差別化するのかなあと気になっていた。

 観てみたらシンゴジとはだいぶ違ってた。
 そもそも共有しているものが異なるんだから心配なかった。
 シンゴジは震災と原発と停電の記憶を共有してる現代人狙い撃ちのお話で、それはそれで盛り上がれた。
 -1.0は戦争の話だし、理不尽な暴力としての怪獣が見られた。
 酒が入ると暴れ出す昭和のオヤジみたいな手のつけられなさというのか。
 海上であの面構えのデカい生き物に追いかけられるところなんか、「こんなのと海で遭遇したくないわ」としみじみ思った。

 熱線を吐く前の制御棒を思わせる背びれのギミックも好きだ。
 ムビモンでどうやって再現すんの? と余計な気を回してしまう。

 放射線がどうのというのはさほど意識せず、純粋に暴力と破壊を恐がることができた。



20231103① 火の鳥 エデンの花

 とくに惹かれなかった。

 手塚治虫の漫画に親しんでこなかったのもあってか、思い入れがなくてハマれないというか。

 鑑賞前、一応Wikipediaで火の鳥の記事からざっとあらましだけは目を通しておいた。
 しかし本編で火の鳥が特別何かするわけではない。不老不死という事なら何かあのスライムみたいな変身できるやつのほうが不老不死だった。

 映画のタイトルが、どちらかと言えば楽曲や小説に題名を付ける時のようなアプローチなんだと思う。
 そこへミリ知らの人間が観に行って「え、火の鳥これしか出てこないの? 画面横切っただけじゃん」となってしまった。私が想定される客層ではなかっただけだ。
 作品の良し悪しとは関係ないところで個人的にモヤモヤを感じたけれど、火の鳥の重要性ってポイントはきちんと押さえてあったんじゃないかと思う。

 壮大だし人間の業を描いていたのは分かった。
 それはそれとして、映画館でわざわざ人間の業だけ見せられても
「分かってるよ、だから何だよ」
としか思えなかった。

 昔の作品の映像化って、出たての時にどれだけ新しいものであっても、その作品から影響を受けた人達の創造したものが間にあるわけで、後者をたくさん目にしてきた側からすれば凄さが分からない。

 たぶん自分は手塚漫画を読んでも感銘を受けないのかもしれない。
 少なくとも本作を観て漫画も、とはならなかった。




2023-12-28

20231028② シン・ゴジラ:オルソ

 都内でゴジラが飾ってある映画館のうち新宿のほうで観た。

 白黒になったことで印象が変わって、自分はどちらかといえば見づらさを感じた。

 1954年の初代ゴジラをDVDで観たことがあって「白黒映画=古い時代のテクノロジー」というイメージが先にあった。そこへオルソの特に冒頭部分、最近のガジェット片手に撮影しながら楽しげに避難する若者のシーンや、動画投稿サイトっぽくコメントが横スクロールする映像などまでモノトーンにされてしまうのが、どうにもすわりが悪くて変な感じだった。
 それと、前半の閣僚会議パートのモダモダした展開も、色がついてないと結構かったるいモンなんだなと思った。

 ではダメだったのかというと全然そんなことはない。

 基本ゴジラが出てきた場面は全部かっこいい。
 映像の作り方のことはよく分からないけど、構図? がもともと良いとかそういう事なのかもしれない。
 熱線吐いた場面はちょっと神々しさすら感じた。

 それはそれとして、やっぱり色はついてた方がいいなと思った。



2023-12-04

20231028① SISU/シス 不死身の男

 奇しくも上映前の予告が金カムだった。
 そういえば白い粉をキメた熊さんが人を襲う映画の時もそうだった。

 ロシア人と戦ったことがあり、異様な強さと生きることへの執念深さから「不死身」とあだ名され、軍服を纏ったむくつけき野郎達と金塊のうばい合いをくり広げる、強さの質がもはや荒唐無稽な領域で90年代の筋肉映画を彷彿とさせる──フィンランドが舞台の作品。

 「ナメてた相手が実は物凄く強い◯◯だった!」系だけど、敵がナチス、ジャンル映画のフリー素材的な記号じゃない、ちゃんとしたナチスで……彼らもなかなかしぶとく、最後まで善戦したのが良かった。
 リアリティは無視、とにかく映像でフィンランド男のSISUを見せつけるぞ、なんなら女も強いんだぞ、と。

 思わずナイスファイト! と言いたくなる映画だった。