2025-12-07

20251010 (字)トロン:アレス

 2Dで字幕版と吹替版をそれぞれ1回ずつ鑑賞した。
 3Dや4Dで観た方々の感想を読むと、これは3D以上で観るべき作品だったなと思う。

 過去についてはオープニングで簡単に触れているので無印とレガシーはおさらいしなくても大丈夫な作りにはなっていた。
 しかし鑑賞後にまず思ったのは「無印は前以て観とけばよかった」だったりする。

 話のほうは、無印に登場したゲームがリメイクされて話題を集めている現代のアメリカという設定。リメイク版の開発に携わったキム姉妹が登場するところから始まる。
 逆に、レガシーで繰り広げられた物語はほとんど語られていないように感じた。話は繋がっているのであの世界にも当時を知る人はいたに違いないが、いかんせん登場しないのでどうなったか判然としない。
 きっとキム姉妹は何も知らされずに働いていて、レガシーの頃に開発されたデータについては知る由もなかったのだ、と、無理やり受けとめるしかなかった。

 この映画も過去作と同じように生身の人間が電脳空間に転送されてしまい、『はたらく細胞』のごとく擬人化されたプログラムと戦ったり仲良くなったりして、どうにかこうにか基底現実に生還するのは変わらない。
 新作は、そこに、プログラムであるアレスの視点が加わっている。
 アレスで描いていることは生みの親からの自立(創造主に反抗すること?)で、ありきたりだけれど感情移入しやすくなっていた。
 アレス君のプログラムらしからぬ言動も面白かったし、ジャレッド・レトの風貌も相まってユニークに感じられた。

 映像面はレガシーのイメージが強いため、赤やオレンジ色は既出だよなあと思ってしまった。
 どちらかといえば、プログラム内の景色よりも、あの何でも作れる3Dプリンタのほうが印象に残った。
 光線の当たった箇所がこんもりと盛り上がって黒い山のようなものができあがる。表面は全てサポート材で、バラバラと崩れ落ちると中から戦車やらAI兵士やらが出てくる。何が現れるか分からないところは緊張感があった。

 何でも作れる3Dプリンタと、劇中でいうところの「コード」がヒトの手元に揃うというのは、やろうと思えば人間が交尾なしに生命を創れるようになることを意味するだろう。
 ディリンジャーの孫がどこまで考えてあのような行動に走ったのか分からないが、彼は、AIが自我に目覚めるのよりも危ないことを始めてしまった気がする。
 もし続編があるとして、あれだとトロンシリーズはただの戦争の映画になってしまわないだろうか。

 最後にアレスは、自らの存在は人類と出会うにはまだ早いと言い残し姿を消してしまった。
 本当にその通りだなと思う。



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