2023-09-18

20230610 リトル・マーメイド

 アニメのほう見たことないけど、話のタネに観に行ってみた。

 公開前に予告を見た段階での所感は、
「ディズニーってポリコレのイメージが定着した気がするけど、今もプリンセスもののリバイバルとかやるんだ?」
だった。なぜ今? という。
 姉妹たちはさまざまな人種が揃っていたけれど、その絵づらが政略結婚のように見えてしまう。主人公よりがっつりアフリカ系の真っ黒い姉なんかもいる。これだと、その……女がよりどりみどりに見える……却って良くないのでは……。
 あとヒロインの子の顔がウィル・スミスに似てると感じてから、そうとしか見えなくなり落ち着かなかった。

 で、実際観てみたら、歌はたしかに上手かった。
 ただ主人公の肌の色が変わっただけで、内容は普通のプリンセスもの。(白人じゃなくてもお姫様のように扱われる希望があるって意味では一部の女児にとっては夢のある話ではある。じゃあ結局べつの需要を掘り起こしただけなのか? ともなるけど)

 印象に残ってるのはヴィラン側の棲み家がキレイだったことくらい。

 アニメのほうはどうなのか知らないが、ラストに
「彼らが種族の違いを超えた架け橋になりますように」
の様なメッセージと思しきシーンはあった。

 それも何か取って付けたような感じがしてしまって、特にハマるでもなかった。



2023-09-13

20230604 クリード 過去の逆襲

 予告が面白そうで気になっていた。

 しかしこれまでロッキーは一つも観たことがなかった。お笑い芸人がコント番組でコスる作品の一つ、くらいの認識しかなかった。
 せっかくの機会なので思いきってイチから観てみた。

 ロッキー、初見の人の率直な感想を申し上げると、非常に言いにくいのだけど、エイドリアンの良さが全然分からなかった。こんな女のどこに惹かれたんだろう、根暗だと逆にしっくりくるのだろうか? と。彼らが付き合いだして見た目に垢抜けてきてからは好きになったけど。いつボクシングが始まるんだろうか、と待ちくたびれそうになるくらい2人のパートが長いのも意外だった。
 それはそれとして終盤の盛り上がりが凄いおもしろかった。もっと早く観とけばよかった。

 クリードの過去2作も観た。
 入場パフォーマンスが本場って感じで楽しい。

 最新作は結構ウエットなものを殴り合いに込めていて、こんな切り口で「男」を語るのもアリなのか〜って驚きつつ、何やかや楽しんだ。

 新時代はちょっと分かんない。



20230602 65/シックスティ・ファイブ

 アダム・ドライバーが大変な目に遭うシチュエーションが好きだ。


 今より数千万年前、どこかの銀河にある惑星で始まる物語……の割にはバリバリ英語喋るから、そういうテイで! を受け入れるまでに少し時間を要した。

 全体的にはアダム・ドライバーが大変な目に遭っているので普通にたのしかった。

 画面が、でかい生き物、でかい虫、でかい音で埋め尽くされていて、少し前進してはピンチ!驚きの展開!また少し前進してはピンチ!驚きの展開!……がひたすら続く。

 この一本調子が人によっては退屈に感じるかもしれない。


 面白いは面白いけど、劇場でやったら「これは配信待ってもよかったかな」とか言われてそうだし、もし配信限定だったら「劇場公開でも良かっただろうに!」と惜しまれていそうな気もする。劇場か配信かのボーダー上にあると思う。


 平日の昼過ぎに再放送していたら、

「あっ、気がついたら何となく全部みちゃってた」

ってなりそうな、そういう意味でちょうどいいのが好きな人にはアリなやつ。



20230502 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

 前提としてこのゲームのシリーズどれか一つでも楽しんだ経験がないと良さが分からない気がする。

 TVゲームにそこまで馴染みがない、マリオもほとんどやったことがない自分には、正直観るのがしんどかった。

 キャラクターの性格が苦手。
 とくに主人公が情けなくて受けつけない。普段の仕事ぶりの不甲斐なさと、そういうゲームだから仕方ないけどアイテムに頼らないと何もできないところが、見ていていい気分がしない。
 敵の描き方もイマドキが過ぎるというか。独りよがりな態度(有害な男らしさとかいうアンチ体育会系のノリ)を子供向けコンテンツで扱うのが何かちょっと気持ちわるい。
 こういう意味での等身大の男性は求めてない。

 あとは音楽の使い方。懐メロを盛り込む演出を他でさんざん見たので、「またか」となった。

 ただ、周りの観客が楽しんでいる様子はとても伝わってきた。
 座席で身を乗り出してるような人も視界の端でとらえた。
「そうそう、あのステージのこの仕掛け、乗り越えるのに何度もやり直して。大変だったんだよね」
と言わんばかりで、本当に夢中で見てるのが伝わってきた。

 世界中にプレーヤーというかファンがいて、そのファンに向けて作られた映像だと思えば、なるほどそういう切り口なら私がハマれないのは仕方ないのだと納得がいく。

 世界規模でキッズの心を掴んだゲームだから実現できた作り方って感じがした。



2023-09-12

20230428 聖闘士星矢 The Beginning

 原作漫画は読んだことがない。
 アニメは子供の頃にテレビ放映していたのを見た記憶が少しだけある。アテナが地下牢のようなところに閉じ込められて中に水が溜まっていくシーンが妙に艶めかしく見えて、そこだけ鮮明に覚えている。

 ほぼミリ知らなのが良かったのか(?)、違和感も拒否反応もなく観ることができた。 
 マリンさんの見た目が好き。

 大作かといわれるとそんなことはないし、かといって特撮ジャンルのVシネやオンデマンド配信よりはお金がかかっている感じはある。

 たとえば漫画原作の実写映画化が決まったとして、原作好きな人も映画好きな人も、期待と不安が入り交じながら、各々が「コレぐらいのクオリティだったらな……」というものを思い浮かべるものだと思う。
 その最低限の基準は超えていた気がする。
 可もなく不可もなくって感じだった。



20230421 #サーチ2

 邦題はサーチ2だけど『Search』の続きではない。肉親の失踪事件を解決すべく家族が孤軍奮闘する状況と、その様子がモニター越しに覗き見するような視点で描かれること、同じ国で起きた点は共通しているが、前作は予習しなくていい作りになっている。
 観る前は「モニター越しのシチュエーションって言うほどバリエーションあるか?」とも思ったし、実際無理があると感じる見せ方もあった。それでも、2は2で面白かった。

 PC世代の父親が年頃の娘を探すのと、スマホ世代の年頃の娘が母親を探すのでは、だいぶ様子が違ってくる。
 機器の扱いに始まり、入れているアプリもその用途も、デジタルネイティブだ〜! と驚きの目でもって見た。何でも使いこなしていて本当に感心する。若い子のほうがやっぱり勢いがあるし、親のパスワードを突破するのにためらいがない(笑)

 ちょっと頑張って調べれば対象のどんな事柄も分かって丸裸にできてしまう時代になったんだな、と思うと、なかなか怖い話だった。

 真相が明らかになって初めて「覗き見しているのは観客だけじゃなかった」と分かるのもまた怖い。



20230412 世界の終わりから

 「対象年齢∶思春期真っ只中の人」みたいなやつ。
 思春期というか厨二病の感性をもつ人向けというか。そういう気質があれば何歳でもイケると思う。

 学生時代にバトル・ロワイアルを夢中で読んでいた時の気持ちを思い出す。少し下の世代ならセカイ系がそれにあたるだろうか。
 フィクションを観る時くらい攻撃性を解放させてほしい。
 逆に言えば、そういう感覚が分からない人には「寒い」「イタい」類いのものかもしれない。分からない方が幸せなのかもしれない。

 私は好きだけど人にすすめるのは難しい。
 言及するかどうかは、きっと相手を見て考えてしまうと思う。



20230331 ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り

 冒険して、問題解決のために立ち上がる決心をして、ちょっとしんみりする時があったりもして、最後に一山越えたらサッパリ終わる。
 そんな娯楽らしい娯楽のちょうどいい映画が好きだ。去年だと『ザ・ロストシティ』とか。
 D&Dもちょうどいい感じで好き。

 もととなったゲームのことはほとんど知らなくて内容はチンプンカンプンだった。最初の鳥人間は「ジャーナさん」だと思いこんでいたし、パラディンが何なのかも分からない。テレビゲームが全部ファミコンだと思ってるお母さんくらい分かっていない。
 それでも、キャラクターやアイテムその他もろもろ専門用語が繰り出されるたび、どこか知らない土地を訪れたような不思議な魅力があって楽しめた。各人が言葉を言わされている感じがないので聞いてて心地がいい。

 エンディング中に変なタイミングで始まり変なタイミングで途切れる日本版主題歌(無理やりねじ込まれた感がすごい)とか、SNSでセクシーパラディンなるワードが一人歩きしていく流れに戸惑ったことも記憶に残っていて、外側の部分も含めてこの年の印象的な作品の一つって感じ。



2023-09-10

20230317 シン・仮面ライダー

  シン・ゴジラとエヴァで掴んだ客にサービスするどころかガンガン振り落としていったところに、物凄く「おたく」を感じた(しっかり振り落とされた)。


 でも怪作ほどリアタイできて良かったなって思ったりはする。劇場の空気感も思い出になるので。

 映画館で近くの席に友達と連れ立って来ていた男の子グループがいて、終わってから片方が

「なんか、ゴメン」

と言っていたのを私は聞き逃さなかった。



20230305 アラビアンナイト 三千年の願い

 キメキメのビジュアルの連続で、眺めているだけですごく楽しかった。
 あと、めちゃくちゃ泣いた。

 結局どっちだったのか? を考察して正解を見つけるような、謎解きとして読み解くようなタイプじゃない気がする。

 観る人に向けて、
「あなたにもこんな存在がいるのだと、信じてもいいし、信じなくてもいい。
 いるなら好きに名前をつけて愛せばいい」
と、あえて余白を残しておいたのかなあと思った。

 信じたい人の気持ちもわかるし、科学の正しさを通したい人の気持ちもわかる。幽霊なんていないよ、ただのプラズマだよと言われても、なら幽霊はプラズマでできているんだねと両方受けとめたい。
 今はスピリチュアルだ妄想だと言われているアレコレも、いつかは科学で証明できる日が来ると、自分ならそう考える。

 個人的には、彼女はあの選択をしたことで他者との関わりを断った・諦めたように見えた。
 頼れる先がないわけだから、全然ロマンチックな話ではないと思う。
 やりきれなくて泣いた。

 しかし彼女にとっては、物語と心中するのはむしろ本懐を遂げる想いだったかもしれない。
 髪型やファッション、自宅の内装を見るに、かなりこだわりが強い女性だった。あれ絶対メンドクサイ女だ。皆が選ばない方を選んで孤立した自分を誇りにさえ思っていそう。

 顔がティルダ・スウィントンだから映像として綺麗なのであって、実際こんな女がいたらかなりメンドクサイはず(笑)


2023-09-09

20230303 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

 ツイッターでフォローしていた人が試写会で観たとかでめちゃくちゃ推してて、「この人がそこまで言うなら……」で観てみた。


 銀魂みたいだなと思った。SF+お下品+映画パロディ+所帯じみた風景+人情モノだったので。通った作品の違いからハジケにたとえる方もその頃多く見受けられた。ボーボボは知らないが言わんとしていることは伝わる。観てると気持ちが小学生に戻ってしまう。


 家族であれ知り合いの人であれ、困っている相手に対して何ができるか? と考えた時、自分などはもう面倒くさくなっちゃって、「正解が分からん」「他にうまくやってくれる人がいるだろう」「ちょっと様子見しよう」などと言いながら、何もしない事がほとんどだ。

 ここぞという時にフザケずに、彼女のような「見捨てない」という大まじめな選択ができるだろうか。



20230222 ベネデッタ

 観ようと思った理由:エッチそうだったから。


 現代人からしてみれば「これは典型的な何かの人格障害だな」で片付けてしまえるものだろう。

 そういうのを知った上で観るとクソ女だけど、彼女は他者を顧みることが全くない割にしかし天罰が下らなかった不条理な存在で、いったいどの神様に愛されていた女なのかと不思議な気持ちになった。


 でも、あそこまで自分を貪欲に信じられたら怖いものはないだろうなとも思う。

 絶対に真似なんかしたくないけど、強い女にはこんなパターンもあるのねと。参考までに。



20230203 ノースマン 導かれし復讐者

 洋画の予告をイチ早く見たくてユーチューブで 漁っていた時期がある。検索ワードに「movie trailer」とか入れたりして(英検4級)。

 ノースマンもその流れで見つけて、何喋ってんのか分からないけど重苦しい雰囲気にすごく惹かれた。キャストも豪華、アニャ・テイラー=ジョイ好きなんで、日本での公開があるといいなと期待していた。

 本予告で、のっしのっしと歩き、素手で敵を殴り倒す(打撃でよくあるドスッという重低音の効いたSEも標準装備の)主人公に、「アクションは鈍重そうだな」とは思ったものの……アニャ・テイラー=ジョイが出るなら観よう、みたいな。


 実際観てみたら思ってたのと違ったけど、面白いは面白かった。

 アクションを求める人にはおすすめしないが、時代考証頑張ったんだろうな、みたいなやつ。

 世界を創ったのが神様だと信じられていた時代に生きた人間の感覚ってこんなだったのかなあ、と思いを馳せたりするのにいいのではないか。

 神話とかまじないとか、そういうの好きな人はいけるはず。逆に言えばそっち方面の教養がないと何してるんだか分からなくて置いてきぼりを食らう。しかし血なまぐさい描写がまあまああるから、ファンタジーが好きなだけではキツイ気もする。

 この作品の需要がどこにあるのか分からない。


 でも雰囲気はかなり好き。話はフツーだけどめっちゃ画力の高い漫画みたいで。



20230106 カンフースタントマン 龍虎武師

 去年はあまり映画館に行けなかった。記録を見直してみると比較的少ない。

 その中でも特に気に入って複数回観た作品の一つが『マッドゴッド』で、2回目鑑賞時の予告で『カンフースタントマン』を知った。


 私は80年代生まれでアクションスターといえばシュワちゃんの印象が強い。テレビで頻繁に再放送をやっていたからだ。香港アクション映画も再放送はされていたが、ジャッキー・チェンの主演作をちょっと見たことがある程度だった。

 直撃したのは自分より一回り上の世代だろう。

 ただサモ・ハン・キンポーだけは、たまたま学生時代に部活の先輩から「サモ・ハンに似ている」と言われていたため知っていた。

 本作で動くサモ・ハンを初めて見た。


 取り扱う題材が体を張ったアクションだから、差し挟まる映像がいちいちとんでもない。

 ドキュメンタリーと聞くと証言をまとめて歴史を追う淡々とした映像ってイメージがあったのだけど、思っていたよりかなり緊張感があった。物理法則をいやでも意識させられる。

 危険そのものを目で楽しむ感じで、映画というよりサーカスを見ている気分。

 あと、これを「かっこいい」と言ってはいけないのかもしれないが、男が腹をくくる瞬間について語られている場面はグッときた。


 その時代の泥臭く危険きわまりないやり方は無理だとしても、なんだかんだ体を張った映像は作られ続けるのだろう。

 今の後継者たちが、未来では、全く新しい様相のアクションを生み出しているのかもしれない。