2024-02-03

20231210 窓ぎわのトットちゃん

 映画化されると知ってすごく気になっていた。
 いわゆる「落ち着きのない子」を、アニメーションで(動画的な意味で)どこまで表現できるんだろう? という興味があった。
 映像のほうは体の動きというより具体的なエピソードが主で、それもまあ女の子にしては好奇心旺盛で活発なお子さんですね〜くらいの、微笑ましく感じられるところまでで踏みとどまっているように見せている。後から振り返ると「やっぱりとんでもない事してたなあの子」ってなるけど。

 小学校退学と聞くと何をやらかしたんだ、学校側は何をやっているんだとなるかもしれないが、現代ならあの状況は加配で先生をもう一人増やすべきケースなわけで、そりゃ一人担任じゃ無理だったろう。
 そんな昔の制度ではカバーしきれなかった子ども達を引き受けて、彼らが毎日元気に通えて次の日を楽しみに待てるような学校の存在は、親御さんにとっても救いだったに違いない。
 先生方のフォローの大変さは計り知れない。子ども達が自由にのびのびやっている影で、気づかれないように何処かで見守っていたとしか思えない場面がいくつもあった。

 ほかに印象に残ったのは、戦争が日常にもたらす色彩の変化だ。開戦以降の落差が激しい。
 とはいえ映画館の客の半分くらいは子ども連れで家族で観に来ていたから、色彩の変化で子どもでも何かしら感じ取れる分かりやすさはあっても、保護者の方が後で説明する大変さはなくならない感じ。
 大人から見ると下の子が生まれるあたりなんかスゴイ説得力を持っているんだけど、あのへんもどうやって説明すればいいのか悩みそう。
 各ご家庭の歴史認識と語彙力が問われそうだ。

 ラストの空襲シーンで重苦しさはピークに達し、近くの席のチビっ子が「こわい……」とこぼすほどだった。
 校長先生の目のとこ、きっとそのチビっ子には、戦争にたいする心の底からの怒りが、ストレートに伝わったんだろうね。

 戦争にかんする描写はグロはなく安心して観ていられるくらい抑えめだったけど、変なところで凝っていた。
 M69焼夷弾の機構がやけに細かく描き込まれていた。



20231208 ウォンカとチョコレート工場のはじまり

 お仕事、はたらく事について考えずにいられない映画だった。

 人を活かすも殺すもチョコレート次第という特殊な地域に一人の青年がやってきて、夢みたいな世界を見せることができるチョコレートを創り出して自分の店を持とうとする話。
 カネを通して描いたら生々しくなっていたであろう話もチョコレートに置き換えると素敵なファンタジーに見えるのだから不思議だ。

 ミュージカルは苦手なので、鑑賞前はちょっと不安だった。
 以前観たアナ雪やウエスト・サイド・ストーリーなどは、歌パートに入ると歯を食いしばっていた。
 登場人物たちは歌い出したくなるくらい感情が昂揚しているから歌うんだろうけど、正直、鳥肌が立つ。丸の内仲通りのイルミネーションにむらがるカップルの今にもおっぱじめそうな空気とか、インスタのポエムとか、知らない人のLINEのやり取りを、不意打ちで食らっちゃった時のような感じに近い。
 なんかもう「やめて」って感じ。

 ティモシー・シャラメが歌うさまも想像がつかなかった。
 どうしても、あの、ととのった顔立ちが先に来てしまう(インターステラーの影の薄い長男は除く)。
 そして始まっていきなり歌い出した。
 意外と聴けた。
 というのも歌声がソフトで、ミュージカルにありがちなエモーショナル爆発! ではなかったから。たんに声量がないのかもしれないが、ミュージカル苦手な自分にはティモシー・シャラメくらいの歌い方のほうがちょうどいい。

 話も面白かったし、ミュージカルだからと食わず嫌いせずに観てよかった。

 ただ、彼の創ったチョコレートでありえないことが現実に起きる表現として出てきた、無毛の猫がフサフサになるシーンだけはイカンでしょと思った。猫にチョコ食わせちゃ駄目だろう。



2024-02-02

20231201② ナポレオン

 冒頭のマリー・アントワネットが処刑される場でナポレオンが人混みに紛れているくだり、若かりし頃のはずなのに「なんか老けてんな」と思った。
 さすがに全部ホアキン・フェニックスだと序盤が老けすぎな気がする。

 お話は当人目線でザ・俺の物語! 俺の歴史!!って感じだけど、ハタから見ると男の生態ってこんなもんだよな~と、何かちょっと半笑いになってしまうような、英雄の殻の外から透けて見えるものまで含めて幾層も重ねてお出ししました、みたいな、凝った塗装という意味での濃さがあった。

 たしかに男の物語だった。よくも悪くも。



20231201① 翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~

 12月1日(映画の日。安い)、ちょうど金曜日で観ようと思えば2本は行ける絶好の機会。

 前作では大いに笑わせてもらった。
 ただそれは自分が埼玉県出身者だからであって、冷静な判断はできていないと思う。

 じっさい2作目で滋賀県に舞台が移った途端、
「コレどこで笑えばいいの……?」
と戸惑う部分が多くなった。
 前作だって埼玉県についてよく知らない人から見たらそんな感じなんだろう。

 初めて部外者の気持ちで翔んで〜を観た感想は、金かかってんな〜! だった。画面の密度がとても高いように感じた。
 あと、明らかにアレと分かる工場のシーン以外にも、何かオマージュとかパロディをやっていそうな雰囲気は伝わってきた。映画詳しくないから元ネタまでは分からない。ただ、やけに印象に残るカットが盛り込まれているのだけは分かる。

 でも何だかんだ一番印象に残ったのは、杏が演じた“滋賀のオスカル“の美しさだった。



2024-01-02

20231124 サムシング・イン・ザ・ダート

 たまたま予告で気になって観ようと思っていたやつだった。

 ボロアパートの一室で起きた怪奇現象を、金のためにカメラに収めてドキュメンタリー映像に仕立てていこうとする男二人の話、としか言いようがない。
 ドキュメンタリー形式だから、どこからどこまで本当なのか、あるいは作り物なのか、最後まで分からないような。

 私は最後まで寝ずに観ることができたが、スヤスヤ寝息を立てている人も見受けられた。
 起伏がなくはないのだけれど……

 煙に巻かれるだけ巻かれてしまい、モヤモヤだけが残った。

 結局なんだったんだろう。