中東での軍事行動中に文字通り命がけで死地から救ってくれた通訳の男を、ジェイク・ギレンホール軍曹が助けに行く話。
戦闘シーンより何より、
「通訳の男がいかに大変な思いをして軍曹を救ってくれたか」
の描写がこの物語のキモ。
これが、もう、それはそれは丹念に、時間を割いて描かれている。
その説得力たるや。
なんなら通訳の活躍をドンパチより徹底的にやっている。もはや戦闘シーンが弱いとすら感じる。
最後の銃撃戦だってもっとスリリングに描くこともできただろうに、かなり大雑把に片付けられていた。
追ってくるタリバンの戦闘員も、「逃走中」の終盤でハンターを大量投入するような勢いで補充されていくものだから、まるで100人スミスとかコント番組やマッドマックスを見ているようだった。旗か、旗が悪いのか。
同じく実話ベースで中東でドンパチするものなら『アウトポスト』のほうが、まだ絵的に命の危機を感じやすいかもしれない。
それだけ通訳の男がよく頑張ったから、誰が見たって「アイツを助けに行かないと死んでも死にきれないヨ!」と思わされるのだけど。
何より生還した軍曹自身が、家族のもとへ帰ることができたのを喜ぶどころか、「呪い」と表現して苦しんでいるところが凄まじい。
良し悪しはともかく、それくらい通訳に比重が置かれていた。
思い返してみればギレンホール軍曹、撃たれてからは特に何もしていない。本編のうち3割くらいは運ばれてるだけだった。
通訳の男に助けられ、嫁に助けられ、(借りを返してもらったカタチとはいえ)上官に助けられ、パーカーにも助けられ。
なおかつ異様なエイム力に助けられている。
何か色々おかしなところがある映画だった。
メモ①
実話ベースの中東軍事モノ(?)を2〜3作観てみたら、空爆で決着をつけるものが続いた。
そのせいか似たりよったりな印象を受けるというか、飛行機が出てくると終わりの合図に見えてしまう。
メモ②
字幕は松崎広幸さん。
専門用語には説明が添えられていた。
(ゴールデンカムイでアイヌ語の意味を同時に表示していたのと同じような配置)
ミリタリーに疎いのでああいった記載はとても助かる。