2024-02-26

20240211 ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人

 ジョニー・デップ裁判後の復帰作、とうたわれていなかったら観てなかったと思う。

 豪華な衣装とセットで繰り広げられる、お金のかかった昼ドラって感じ。
 きらびやかな景色を史実とか気にせず見たい人には合っているのではないか。
 観客の男女比は、私が観に行った回は9割女性だった。
 ヴェルサイユ宮殿も清潔感にあふれていて凄くきれいだった。

 フランス革命と聞いて思い浮かぶような血なまぐさい描写は一切ない。ルイ15世暗殺未遂の罪によって八つ裂きの刑に処されたロベール=フランソワ・ダミアンも、死刑執行人のシャルル=アンリ・サンソンも、ギロチンも出てこない。

 『ナポレオン』を観た後での鑑賞だったのも落差に繋がったかもしれない。
 ナポレオンでは冒頭でマリー・アントワネットがギロチンにかけられる。そのシーンが記憶に新しく、本作でたいへん可愛らしいマリーが登場した瞬間「ああ、この子が最期ああなっちゃうんだ」と気の毒になってしまった。
 鑑賞した順番のせいで、マリー・アントワネットのほうがデュ・バリー夫人より酷い目に遭ったイメージが出来上がっちゃってて参った。
 言うて己の境遇を選べなかった度合いで言っても、マリーのほうが可哀想な気がする。

 デュ・バリー夫人はある程度の年齢になってから自らの意思で宮廷に接近した人として描かれており、イマドキの言葉で表すなら、田舎の出身で上京後に歯止めが利かなくなったパパ活女子のような印象を受けた。
 豊かな暮らしを求める気持ちは理解できなくもない。生活の安定を求めて何が悪いと言われたら返す言葉もない。自分を貫いた女性のように見せようとする意図は察せられる。
 それはそれとして、たとえば子どもを可愛がる時のおままごと感とか、彼女が良い人認定した男性だけがやたらヒーローちっくに描かれたりしている点だとかが、言葉を選ばずに言えば年齢のわりに幼稚に見えた。ある意味それも彼女らしさなんだろうけど、観ててイラっとした。

 加えて、監督自らが主演という点も、正直イタいとしか思えなかった。
 しかし、後になって、監督自ら主演する作品って色々あるよなーと思いだした。タイカ・ワイティティとか、北野武とか。それと何が違うのか。
 思うに、ジャンヌ〜は内容がロマンスだからキツかったのではないか。知らん女の夢小説を読まされてるみたいで。

 あと、ルイ15世への想いの強さという意味でなら、もっと惹きつけられた人物がいる。ラ・ボルドだ。
 彼のほうがよっぽど国王に対する愛を持っていたように見えて良かった。

 この監督さんの見せ方も演じ方も、男の趣味も、何か合わないなあと思った。

 総じてデュ・バリー夫人を好きになれるポイントが見出せなかった。




0 件のコメント:

コメントを投稿