2024-02-12

20240120 VESPER/ヴェスパー

 ほぼナウシカだけど凄い好み。
 虫がダメな人にはお勧めしない。

 舞台はなんか色々あって荒廃した地球。一部の富裕層だけが暮らせるコロニーの外で苦しい生活を余儀なくされている人々がいて、同じく外で生まれ育った少女が貧困から抜け出すために足掻く話。

 基本的な流れはポストアポカリプスものの典型だけど、用いられる舞台装置がSF超大作によくある無機物ではなく有機物で構成されているのが物珍しく感じられた。
 なんならヒロインの横にふわふわ浮いてる丸いやつもAIではない。高性能マシンに見せかけて、あれはただのお父さん専用無線機だ。しかも中をいじるとクチュクチュという汁っぽい音がする(どういう構造なんだ……)。
 そういう感じのモノは他にもまだあって、
・エロ同人に出てきそうなウニョウニョしたトンチキな植物たち
・おもに労働させるためだけにデザインされた、知能を持たず、痛めつけられても叫ぶことしかできない人造人間
・おもてなしの食事には貴重なタンパク源もといフレッシュなミミズを盛り付け
 などなど。
 出てくるものがことごとく生理的嫌悪に直結しかねない要素を孕んでいる。
 メイドインアビスとか好き好んで読むような人なら楽しめるんじゃないか?

 あと、こういうテーマを大っぴらに語った作品ではないけれど、女性の自立といった側面も描かれているように感じた。
 ヒロインのヴェスパーちゃんは、消息不明のお母さんのことを引きずりつつも食うに困らない生活を目指して植物の研究と創造にいそしむ頑張り屋さん。
 カメリアは元々依存体質っぽい女性だったが、自分に出来ることを考えて行動するに至った。当人にとっては悪手だしお話の勢いがあそこで失速した感は否めないが、彼女が自分で決めたという点が大事なのだと思う。
 ヴェスパーのお母さんも、理由こそ不明だが家族を棄てたのには何らかの覚悟があったと思われる。

 しかし、画で語るスタイルのため説明がほとんどないのが難しい。
 荒廃した地上におっ立っている廃墟が何なのか、あの死体はいつからああなのか、映画の最後はどうなったのか、BLAME! 並みに説明してくれない。

 何となくだけど、あれは
「一人の少女はやがて沢山の協力者と出会い、支えられ、新種の植物の創造にも成功し、コロニーの住人に立ち向かえるほどの力を持った女性に成長します」
と言いたかったのではないか。

 ほぼナウシカですね。



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