2023-11-27

20231027 ドミノ

 以前勤めていた会社で、ちょっとしたトラブルが起きた時のこと。
 あるとき部内ミーティングがあり、その序盤で部署長が
「この件はAで行く」
と言っていたので、皆そのつもりでいた。
 ところが後日、同僚が確認のために部署長へ話しに行くと、どうにも話が噛み合わない。
 部署長は怪訝そうな顔で、
「こないだBだって言ったでしょ!」
と言い放ったのだ。

 人は年をとると、頭に思い浮かべた事と口から出る言葉が食い違うという謎の現象に見舞われることがある。その部署長も皆の前ではBと言ったつもりで口からはAと発していた。
 彼には言い間違えたという意識すらなかった。

 この認知機能のバグみたいな現象を、もし人為的に起こすことができたら?
 何気ない言葉のやり取りやちょっとした仕草で働きかけて、そうと気づかれないまま他人の言動をコントロールする(部署長にAと言わせる)ことができたら?
 あるはずのない景色を相手の脳内にだけ見せることができたら?

 それを実現できていともたやすく人を操ってしまう謎の男が現れ、彼を追う刑事が術中にはまっていく、という話だった。
 攻殻機動隊のゴーストハックと虐殺器官とパプリカだったら、パプリカかなあと思う。

 謎の男を演じているのがウィリアム・フィクナーで、超〜格好よかった。
 彼に話しかけられていつの間にか街のど真ん中で服を脱いじゃってたとか、もはやご褒美ではないか。私も騙されたい。

 ただ、この、何気ないコミュニケーションで人を操る場面は序盤だけ。
 途中からは、相手を普通の命令文でコントロールする人が出てくる。ラスボスとの実力差を分かりやすくするためのようだけど、もうちょっとヒネらんかいとなってしまった。
 逆に能力が高すぎるあまり言葉を発しなくても操れる奴まで出てくる。なろう小説の無詠唱で必殺技をくり出す魔法使いじゃないんだから。
 さらにハイレベル同士の戦いになると無詠唱VS無詠唱になる。これがただ睨み合っているだけの絵づらでかなりシュールだった。
(じりじり……)
(じりじり……)
(ググッ……)
(ごおおぉぉ……!)
 いや何か喋れよ!! と思ってしまった。

 とにかく騙されっぱなしで、目に映るものが次の瞬間には全く別の姿をしていたり、どんでん返しに次ぐどんでん返しと、映像面で振り回されるのは面白かったんだけど。

 言語によるメンタリズム・バトルももっと観たかった。





2023-11-25

20231020 ザ・クリエイター/創造者

 予告は、人と機械に芽生えた愛と感動の物語みたいな雰囲気。
 本編は、割としっかり命を奪う。
 予告で“ノマド”を伏せる意図は分かる。ただ、愛の物語のほうを目当てに観に行った人がいたら……その人がもし、人が傷つく描写が苦手だったら……と思うと、ちょっと気の毒な気持ちになった。

 いやAI搭載ヒト型ロボットの生命って何だよってなるんだけど、姿かたちが人間のそれに非常に近いから、機能停止させた時の命を奪った感が強い。

 お話は何かローグ・ワンとブレードランナーを足して2で割ろうとしてエリジウムができちゃったような印象を受けた。
 スター・ウォーズを一言で説明するとなって「スター・ウォーズとは、デス・スターを壊しに行く話です!!」で押し通されてしまったような。
 そこじゃねえだろ、となってしまったのは、多分、力の象徴と言うべきものにどう立ち向かうか「まで」しか描かれなかったからだろう。
 この人達この後どうすんのかな、分断のその先をどう見せたかったんだろう、と思うと何か物足りなかった。

 あと、アジアに夢を抱きすぎな気もする。
 作った人はアメリカ人にたいする嫌悪感でもあるんだろうか。俺はアイツらとは違うんだ、立場の弱い人達の気持ちが分かるんだ、的な。ギャレゴジもだけど監督さんは人間に対して潔癖症でもあんのかな。

 主題には何かビミョーなものを覚えたが、映像はかなり好きなやつだった。
 理不尽な暴力をこれでもかと見せてくる(臨場感も凄いがそのぶん爆弾と銃撃の音がかなりうるさいとも言える)。
 同じ型のアンドロイドは顔も同じなため共通の役者が演じている点だとか、地上から見上げたノマドの子宮のようなルックスとか、動力源どうなってんのってなる静けさとか、ちょっとした乗り物のウェザリングなんかも、細かいところまでこだわっているのが見えて良かった。
 特に死亡者のいまわのきわの記憶を語らせる装置に至っては、思いついた人の正気を疑いたくなる。人の心とかないんか?

 いろいろなメカ描写には魅力を感じたので、2周目いってもいいかなと思った。
 でも、目がめちゃくちゃ疲れたから当分はいいです。



20231014 宇宙探索編集部

 UFO・オカルトブームが過ぎ去り廃れてしまった雑誌『宇宙探索』の編集長が、とある動画を知って「これは」となり、周囲の反対を押し切って現地取材へおもむくという話。ジャンルは何だろう。ロードムービーだろうか。

 なんでも鑑定団に地方の公民館とか市民文化センターみたいな所で開催する出張鑑定コーナーがあるけど、自信満々でエントリーして肝心の鑑定結果はお察し、ってパターンがちょいちょいある。この編集長からも似た空気を感じた。不器用だが純粋な男性といえば聞こえは良いんだろうけど、知っていることに偏りがある印象だし、自身の夢が絡むと途端に冷静さを失う。

 出版業界を知らない自分から見たら、雑誌の編集部、ましてや編集長なら、勉強はできて当たり前で、博識で、常に最新の情報を仕入れていて、取材でさまざまな人と接する機会があるから対人スキルもきっと凄くて……なんてイメージがある。
 作中の編集長は、何かいつもボソボソ喋ってて、暗い。普通の人と相容れない部分があり、コイツ何考えてんだかさっぱり分からん、みたいな。

 最後も(主に編集長だけが)「諦めなくて良かったぁ〜」となっていた。
 もうここまで来ると、いやアナタがそれで良いならもういいよ、これも多様性よね、と、観る側も諦めの境地にたどり着く(笑)。

 最後までこの人のことは理解できなかったし、彼も他者に歩み寄ることにはどこか疎いまま終わってしまったが、分かろうとしてもなかなか理解できない・簡単に真理には至ることができない、そういうものがそのままここに在るって意味であれば、まさしく目の前に宇宙があったなあ、と思えなくもなかった。

 話よりむしろ中国のローカルな風景を見ているほうが面白かった。
 都会からの鉄道での長距離移動に、地方都市、普通に人が暮らす町並み、田舎の風景、山に囲まれた絶景、秘境(?)まであって見応えがあった。



 土日のどこかで観るつもりで前売券にしたら、行こうとしていた吉祥寺の映画館はネット予約に前売券が使えなかった。
 それで当日早めに出ようとしたのに、こういう時に限って朝からいろいろ起きるもので、着いた頃には座席が残り半分になっていた。

 時間をつぶすために初めて井の頭公園に行ってみた。
 愛犬家のオフ会のような集まりがあったようで、高そうな犬がいっぱいいた。


 
  

2023-11-22

20230930 コカイン・ベア

 実話から着想を得て作られているそうだが、共通しているのは「違法な薬物が飛行機から山に落とされたこと」「その薬物をクマが摂取してしまったこと」のみらしい。
 実際には人を襲ったという話はなく、被害に遭ったのは薬のせいで死んでしまったクマだけなのだと、どこかの記事で読んだ。

 〜〜から着想を得た、と言われてクマが出るとなればもう、インターネットに毒されてきた世代としてはウィキペディアの羆のページを脊髄反射で思い出す。人のほうにも犠牲者が出た痛ましい話を知りながら、「リミッターが外れたクマ」というシチュエーションを前にするとものすごく興奮してしまう。映像の中だけなら純粋な暴力行為がどこまでも許されると思っているフシがある。

 こういうの大好き! という人にとっての大好きなもの詰め合わせだった。

 明るい山中なのにとにかく恐い。森の中に一瞬姿が見えるだけで恐い。でも時々かわいい。地面に白い粉がブチ撒けられているのが見つかれば何処かに潜んでいるんじゃないかと不安になり、姿を現す前からもう恐い。突進してくるところなんか死を覚悟するくらい恐い。でも時々かわいい。恐いのが快感になる。何だろうこの気持ち。

 ただ、前半の(これからクマに襲われるであろう)登場人物が出揃うまでのドラマパートは、まあまあ人数がいるので辛抱強く待たなきゃいけなかった。

 この作品、時間の都合で初めて新宿のトーホーで観ることになった。ゴジラの頭が生えてる所だ。
 あの辺はこわい所だと聞いていたから今までずっと足を踏み入れたことがなかった。
 行ってみたらとても活気があり、思っていたより居心地がよかった。






20230922 ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!

 タートルズといえば小学生の時ちょうどテレ東の水曜18時台で放映されていて、カメ達の活躍そっちのけで「シャワキチャン!!」を連呼しまくった記憶がある。

 スパイダーバースとはまた違った色彩と見せ方で楽しめたが、とにかく、目が疲れた。
 冒頭から何かチラつくような、カクカクしてるような強い違和感があった。後になって意図的にフレームレートを落とした映像だったことを知り腑に落ちた。スクリーンが大きければ大きいほど一コマ一コマを全力で目で追ってしまうのかもしれない。眼精疲労が酷すぎて翌日まで頭痛が続いた。

 カメ達はおバkわんぱくかつ好奇心旺盛で、目線の高さを完全にキッズに合わせたところに好感が持てた。
 映画ではカメ達だけではなく、彼らを保護したスプリンターの視点も並行して描かれる。全体的に子供向けでありつつ大人が観るとそれはそれで感じ入るものがある。
 かつて「シャワキチャン!!」を連呼していた元キッズの中には、今やスプリンターと同じく子どもを育てる側に回った方もおられるだろう。終盤で彼が子離れする瞬間には、何かしら思うところがあるかもしれない。

 構成は伏線のお手本みたいな流れだった。
 仮にひとつの映画が2時間くらいあったとして、登場人物やエピソードの数って一度に覚えられる量に限りがあると思う。ミュータント・パニックはそこのボリューム感がとても丁度良かった。

 アクションは思っていたよりジャッキーしてた。

 同じテレ東、水曜、18時半のビーストウォーズは子供時代に見たものと記憶していたが、調べてみたらその頃すでに中学生だった。
 私の頭は小学生から成長していない。



2023-11-20

20230915 グランツーリスモ

 好きなブロムカンプ作品はエリジウムです!
 よろしくお願いします!!

 本当にブロムカンプ監督が作ったんだろうか? と何度も名前を確認してしまった。
 南アフリカも、きったねえ街並も、貧困層も、シャールト・コプリーも出てこない。
 でも面白かった。

 実在するレーサーの伝記映画ではなくて、原作ゲームの伝記映画だった。
 昔少年マガジンの読み切りでバイオハザードの開発物語とかあったなあ、なんて思い出した。
 バイオではどうか分からないが、たとえばリアルなFPSをやり込んで特殊部隊に入った人なんかもいるんだろうか? そう考えてみると、実際のカートやレーシングカーの経験がほとんどないまま本物のレーサーになるチャンスを掴んだ彼と、その彼を育てた原作ゲーム、どっちも凄いなあと思う。

 で、映画は少年マガジンの読み切りよりも王道の少年マンガしてた。ヒロインがちゃんと美人で、主人公がヒロイン一筋だったのも少年マンガっぽい。ブレない男の子っていいなあ。

 ただ、あまりにもまとまりが良すぎて、ほとんど作り話の領域に入っているように感じた。
 よく知らないけどそうとう脚色されているんじゃなかろうか。
 面白かったからいいけど。




20230909 ドラキュラ/デメテル号最期の航海

 9月9日は、前年の夏に上総一ノ宮の玉前神社で授かった御守を返納すべく参拝を予定していたが、台風の影響で鉄道が運休となってしまいリスケに。

 ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』は以前読んだことがある。
 漂着したデメテル号から発見された船長の遺体の異様さ。
 航海日誌をひもといて見えてくる乗組員の絶望的な状況。
 最後は誰も助からない。
 原作既読でこの章が凄惨な結末を迎えるのを知っていたから、映像化したらさぞかしシンドイことになるだろうと興味がわいた。

 映像になると、海に囲まれ逃げられないことを強く意識させられた。
 当たり前だけど舞台はずっと船の上。
 それと本編の7割くらい画面が暗い。昼間のパートもあるけどほぼ夜。
 ある意味ぜんぜん代わり映えしない景色が続くのに、夜ごと誰かしら殺されるものだから、一人また一人と消えていく船員の顔を思い出しては「また夜が来るのか」とどんよりした気分になっていく。
 怪物はどこから襲ってくるか分からないし、突然でかい音でビックリさせる演出が多用されているのもあって心臓に悪い。
 いつ来るかいつ来るかと体を強張らせてしまい、思いのほか消耗した。

 精神的にも肉体的にも疲弊しながら、それでも勇敢な船乗り達が得体の知れない何かに立ち向かっていく。
 後半は原作に則っていない部分も多々あるんだけど、なにぶん原作既読勢にとっては彼らの抵抗はそのまま助走つけて全滅しに行ってるようにしか見えず、足掻けば足掻くほどむしろオイシイという不思議な感覚で観ることになった。

 ドラキュラの見た目は好みが別れるかもしれない。狡猾さ残忍さに全振りしてて全然イケメンとかじゃないから(笑)
 ああいうビジュアルって、信心深い人や神話を嗜んでいる人には恐ろしい悪魔に見えるんだろうか。
 自分はそういうのに疎いせいか、ナメック星人みたいだと思ってしまった。





20230825 MEG ザ・モンスターズ2

 鑑賞中すっごく長いように感じた。
 調べてみたら116分だった。
 体感130分以上あった気がした。

 深く考えずアトラクション的に楽しめるものは大好きだ。
 特に中盤の海溝パートの情け容赦なさといったら、観ているこっちまで息が止まりそうだった。海上に舞台を移しても(その後も阿鼻叫喚のシーンが続くにも関わらず)、酸素があるだけ良いじゃんと思ってしまう。

 しかし今回は陸に上がっても安心できない。
 なんなんだあの生き物は。
 サメもまあパクパクと人をよく食べる。
 超でかいから基本丸呑みで流血描写がむしろ少ないのが印象的だった。

 ステイサムや共闘した人達が異次元の強さのため忘れてしまいそうになるけど、彼らはフィジカルの強さだけではなく、敵をよく見極めて行動する冷静さも持ちあわせている。
 早い段階で命を落とした人達に足りなかったものが割とハッキリしているのもおもしろかった。

 アクション超大作でありながら、生き延びるために大事な普遍的なこともちゃんと提示されている……かも。







2023-11-19

20230812 バービー

 感想をどう述べたらいいか頭を抱えるタイプだった。
 自分はアンフェのケがある(なんていうか「だから女はダメなんだ」と結論づける性格傾向を自覚している)から、感情を噴き出さずに書けるかどうか。

 アリかナシかで言えば、ナシだ。

 予告をちょろっと見て、どピンク・ど派手な舞台のインパクトにやられて「ぜひ観たい」と思っていた。
 予告に釣られて観てみたら、コメディっちゃコメディだけど、なんか騙された気分。下調べがおろそかだった自分が悪いんだけど。

 まあ主演がマーゴット・ロビーだからもしかしたらソッチ系かもなあとは身構えていた。
 実際その通りの展開になってしまい、最後まで観ていられず途中リタイアした。よってオチは知らない。

 途中まで観て覚えているのはここまで。
 神話でいうところの天界や黄泉の国のように、人間界と繋がり相互に作用しあう人形の世界がある前提。
 毎日ハッピーに暮らしていた人形の一人に異変があらわれる。自身の変化を何とかしようと人間界へ乗り込んだ彼女は、人間界のトンデモナイ男社会を目の当たりにする。さらに彼女の異変は「心身の老いから精神的に不安定になっていた中年のオバサン」のせいだと分かる。
 この騒動は双方の世界における男女のパワーバランスが崩れる事態を招き、どちらの世界もめちゃくちゃになっていく。

 これ系の映像作品でたびたび取り上げられる「男のバカバカしい生態」みたいな描き方がものすごく苦手だ。
 わざわざ映像にして「コイツら、変だよね」とやられて浮き彫りにしてやったぜ感を出されても、スゴイ発見だとはならないし感心もしない。映画ではなくヘタウマ系の絵柄のコミックエッセイでやれよと思う。
 少なくとも私が好きな・尊敬する女性から思い浮かべる人達は、男性をこんな見方では扱わない。

 途中で退席したのは映画の内容だけが理由ではない。
 実は隣の席に上映からずいぶん遅れて入ってきたカップルがいて、鑑賞のしかたがアレ過ぎて嫌になってしまったのもある。
 入場する時間は自由なので気にしないが、男性のほうがかなり具合が悪そうで、気が散って仕方なかった。
 男性は何度も座りなおし、ハンディ扇風機を使って体を冷し(スイッチ入れるとLEDランプが点くタイプで気になる)、ビニール袋を抱えて今にも吐きそうな様子で身をかがめていた。
 そこまでシンドイなら無理に観なくていいだろうに、と呆れてしまったが、隣の彼女はといえば映画に夢中で彼の様子などまるでお構いナシだった。

 内容はいかにもマーゴット・ロビーが好きそうなやつだし、隣はそんなだしで、何かもう見ていられなかった。

 着せ替え人形の話だからといって、間違っても女児の目に入らないよう祈るばかりだ。


 バービーは不快だったとはいえ、世の多くの女性から見たら私のほうが人でなしだ。
 共感能力がなく空気が読めず、そこら辺の同性のように女性どうしで連帯することもできず、他者を受容するとか、いわゆる母性? 利他的な行動をとれるという意味での女性らしさがカケラもない。
 だから、何を言ったところで、私が毛嫌いしている女性のほうが価値が高いというか、正解だし、人としてマトモだと思う。
 「だからお前はダメなんだ」と言われたら返す言葉もない。

 そのへんは受け入れなきゃなあ、と思った。



20230810 トランスフォーマー/ビースト覚醒

 字幕で観たが、これに限っては吹替版で観たほうが良いかもしれない。

 ビーストウォーズはテレビアニメが直撃した世代だ。弟と一緒に見ていた。テレ東の水曜18時半から放送していたと記憶している。
 当時は声優という職業についてよく知らなかったため、「なんか会話のテンポがいい、面白いロボットアニメだな」と思っていた。
 それまでにもロボットアニメには馴れ親しんできたほうだったが、ビーストウォーズは子供の目からしても異色な存在だった。敵対勢力と戦う主旨は普通の勇者系ロボットアニメと同じだが、各話完結で悪者をやっつけるというより、毎週見続けないと把握できないドラマの部分が難しいイメージ。
 CGアニメであることや動物からロボットへの変形は違和感がなかった。これはタマゴラスで遊んでいた影響が大きい。

 かつてテレビで見たそのアニメと、ニコニコ動画で「声優無法地帯」「イボンコ」「俺のエビチャーハン」でゲラゲラ笑っていた思い出もあり、吹替版で頭が混乱するくらいなら字幕でいいか、と思った。

 ところが、字幕版は存外分かりづらかった。
 別に字幕の内容が変だとか役者の演技が変だとかいう話ではない。
 トランスフォームや戦闘の描写がかなり盛り沢山なおかげで、人間サイドのエピソードが薄いような。特に主人公の心境の変化が、「いつのまにそう思うようになったの?」と首をかしげてしまう時がちょいちょいあった。声優さんの演技で補強されたものを観たほうが分かりやすいのではないか? と感じた。

 あと、機械生命体はいかんせん機械なものだから、何らかの攻撃を受けて停止しても、死亡なのか瀕死の重傷なのかよく分からない。どう受けとめたらいいのか反応に困る部分はちょっとあった。

 反応に困ると言えば「人間もビースト達とともに戦う」をあのように見せるところは、うわぁ賛否が別れそうだなあと心配になった。私などはザ・プレデターを思い出しちゃって……いやザデターは好きな作品だしああいうオチも嫌いじゃないけど……
 ビースト〜は、アレのデザインもうちょっと何とかならんかったのか。
 ツイッターをやめてしまったので他の人の反応は分からない。でも、もし人と話していてこの話題になったらすごく気を遣いそう。

 バンブルビーのところは良かった。





20230714 君たちはどう生きるか

 千と千尋〜をパワーアップさせたようなやつだと感じた。
 女の子が夢みたいな世界でちょっと成長して、「戻りたいし、戻るのが当たり前だから日常に帰っていく」のと、男の子が一冊の本を読んで自分を顧みた上で「夢みたいな世界を提示されても自ら戻ることを選んで日常に帰る」の違いはあるものの。

 映像は何か凄すぎてリアクションができないクオリティだった。一周まわって「ふーん」となってしまうような……生きてるうちにこんな光景見ちゃって良かったんだろうか。

 前情報ナシでいきなり鑑賞したが、もし予告でその「ふーん」になっていたら観ていたかどうか分からない。
 物語も淡々としている。
 物語にできるのはここまで、と線引きされているような。
 あっちの世界の風景はいくらでも創れるし見せてやれるよ、でも見せてやったところでお前が生きてるのはその現実なんだよ、と言われた気がした。(いや創って見せてやれるのが凄すぎるんだが)

 ジブリ映画はいい表情したジジイとババアがたくさん出てくるところが好きだ。
 なんだかんだ言って、現実のジジイとババアが可愛い世界なら帰って来たいと思えるのかもしれない。

 宮崎駿監督が描くジジイとババアがこの先見られなくなるのは残念に思う。





2023-11-17

20230701 (吹)スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース

 6月30日から7月1日にかけて、仙台に一人旅に行ってきた。
 仙台パルコの中にあるトーホーシネマズで観たが、どこに行ってもパルコはパルコだしシネコンはシネコンだった。

 前作は運よく3D版(字幕)を観ることができ、映像にものすごく圧倒された。それは良かったのだけど、すごすきて内容が飲み込めなかった。それで後から吹替版も観ている。ピーター・B・パーカーがよかった。タツノオトシゴのくだりの情けない感じが好きだ。

 スパイダーバースは前作も続編も有名な声優さんが沢山出てくるけれど、「ああ、あのアニメの◯◯役の!」というふうに他の作品に引っ張られることなく楽しめた。

 それはそれとして、字幕で観ても吹替で観ても「そこで終わるんか!」となるラストだった。
 また来週〜みたいなテンポ感だったけど、次回作まで覚えていられるだろうか。