思ったより渋いなあ、と思った。
ノーラン監督に対して「作りたい映像に合わせてお話を作る(見た目の派手さ優先でお話は二の次)」みたいな勝手なイメージを抱いている。多分IMAXカメラを肩にかついだジャケット姿の写真に引っ張られてる(笑)。
それでオッペンハイマーも、実際に落とす場面でも詳細にやるのかしら? なんて想像していた。去年の夏頃だとまだ日本での公開がハッキリしないままだったのもあって余計に、映像的に何か日本人が見たらマズイもんでもあるのか? と考えてしまった。
観てみたら何てこたない伝記映画だった。
広島と長崎に落とす場面は特にない。なかった事に不満もない。わざわざ凄惨な描写を見せずとも、トリニティ実験が成功した(=後戻りできなくなった)、歴史の転換点を置かれたってだけで充分だった。
でも、アメリカでバービーとオッペンハイマーが大ヒットしたのが何故なのかは、観てもよく分からなかった。伝記映画と聞いて思い浮かべるものよりもエロシーンが多い印象はある。主人公に愛人が何人もいて劇中でヤッてる場面が何回も挟まるので。
おっぱい目当ての人が映画館に押し寄せたりしたんだろうか。
去年8月4日から5日にかけて広島の平和記念資料館を見に行った。この映画がキッカケで(観れるかどうか分からないうちから)いろいろ予習しておこうとなったからだ。
式典の前日というタイミングだったゆえ目にしたものも色々あった。地元の学生らしき制服姿の子達が千羽鶴を抱えて納めに来ている様子だとか、会場設営やカメラの準備をするスタッフの人、あと見るからに要人って感じの外国人が側近を連れて歩いてるところなど。ドームを間近で撮影しているTVクルーもいた。
オッペンハイマーの予習になったかといえば微妙だけど、その年の11月に観た『ゴジラ-1.0』をよりじっくり体感するのにちょうどよかった。
鑑賞前に読んだものを以下に控えておく。本を読むのがめちゃくちゃ遅いから、この3冊に数カ月かかった。
「原爆ドーム 再生の軌跡」著:古川修文 南々社
「原爆を盗め! 史上最も恐ろしい爆弾はこうしてつくられた」著:スティーヴ・シャンキン 訳:梶山あゆみ 紀伊國屋書店
「ケミストリー世界史」著:大宮理 PHP文庫
原爆ドーム~はあのドームが建てられることになった経緯から広島平和記念公園一帯のなりたちまでの一連の流れを知るのにとても良かった。文章も分かりやすい。
オッペンハイマーの予習には原爆を盗め!~は合っていた。開発資料が流出した話をよく知らずに観たら映画の後半ワケわかんなかったと思う。
ケミストリー世界史では兵器開発の歴史を大まかに知ることができた。ミリタリーの解説はあんまり細かいとシンドイので、かいつまんで軽めの説明でお願いします、という自分のような人にとってはとっつきやすい作り。マンハッタン計画の説明も少しある。劇中に登場したフェアゲルトウングスヴァッフェン2号ことV2ロケットもこの本で知った。
あとはウィキペディアから「トリニティ実験」「ガンバレル型」「爆縮レンズ」「リチャード・P・ファインマン」のページは事前に読んでおいた。ボンゴ(笑)
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