2024-10-02

20240406 アイアンクロー

 後半のタイトル回収シーンが熱い映画だった。

 まず、とにかく見た目の説得力がハンパない。
 俳優がプロレスラーを演じるために役作りで屈強な肉体に鍛え上げた、と言われて想像する姿の数倍デカい人達が出てくる。王騎将軍のたくましい二の腕にウットリとかそういうレベルじゃない太さに、役作りのこだわりへの感嘆を通り越して「そこまでしなくても」と若干引いてしまった。
 序盤で兄弟が朝食をとる場面もなんか凄い事になってて、ダイニングテーブルに並べられたパンやらベーコンやら卵だのの量が給食一クラス分みたいなボリューム。

 そして言うこと為すことがいちいちアレな親父さんに、日本人の感覚からすると何か違和感のあるお母さん。
 このお母さんが平均的なのかどうか身近に敬虔なクリスチャンがいないから分からないけど、なんかこの家庭は父親だけの問題じゃなさそうだなあ、と思った。

 鑑賞前にウィキペディアでざっと家族構成だけはさらっていて、実際は6人兄弟のところを5人の設定にまとめられているのは把握していた(尺の都合だろうか?)。それでも、こう立て続けに亡くなる過程を見せられると、たしかに死にすぎな気がする。

 呪いじゃないなら何がおかしかったのか。
 多分だけど、弱りきった男にたいするフォローの仕方を家族の誰も知らなかったのが災いしたんじゃないだろうか。
 そもそも親父さんがいろんな意味で強いため、「弱る」という事がない。
 お母さんはとてもしっかりした人。いわゆる母性で包み込んだり寄り添ったりするタイプではない。あの親父さん相手ならそれで足りたのだと思う。ただ、兄弟たちがシンドイ時にも毅然とした態度をとったのが、結果裏目に出てしまったのかもしれない。
 親父にしごかれる地獄の日々を一緒に耐え抜いている兄弟の結束しか心のよりどころがない。
 屈強な肉体なのに、というか、屈強な肉体だから、崩れたときの落差をより強く感じる。

 彼らの中でも次男のケビンが最後まで生き残ったのは、優しい彼女とつきあえたのがやっぱり大きいと思う。

 オチは何か「男だって泣いていいんだ」って感じで普通。
 そんな普通のことが普通にできるようになるまでがケビンにとって物凄く長い道のりだった、という話。


 感動的なラストが映し出されるなか、そういえば子供の頃テレビで見た大仁田厚は泣いてたなあ、有刺鉄線デスマッチすごかったなあ、などと思い出してしまい、最後の最後で余韻に浸れなかった。



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