アメリカのテレビ局ABCのスポーツ中継チームが、現地で起こった人質事件を生放送する話。突発的な事件にもかかわらず、プロフェッショナルとして淡々と仕事をこなしていく。
1972年ごろに使われた機材や放送手段をしっかり再現しているみたいで、ダイヤル式電話に、電信(初めて見た!)、写真素材の扱い、テロップの作り方であったり……今見たらかなりアナログな方式で、すべてに驚きながら観ていた。
通訳の存在が印象的。
アメリカから来たチームはミュンヘンでの中継のためにドイツ人のマリアンネという通訳と一緒に仕事をしている。
チームの面々は彼女個人を尊重する発言をしていて連合国とか敗戦国とか意識してない様子ではあるものの、起きた出来事のほうはがっつり引きずっている。その辺のさじ加減も主張しすぎない程度なのにちゃんと引っ掛かりになっていると感じた。
ほとんどの場面は「調整室」と呼ばれるモニターが並んだ部屋でのやり取りだけで進むが、緊張感がとぎれず観ることができた。
歴史的瞬間を生放送で送ることができて大手柄といいたくなるところで終わらず、後味の悪い結末で締めくくられるのが生々しくてよかった。
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